英国で話題の「AIおばあちゃん」とは?詐欺電話を止める仕組みを解説

英国で話題の「AIおばあちゃん」とは?詐欺電話を止める仕組みを解説

近年、AI技術の進化により、私たちの生活やビジネスのあり方は大きく変わりつつあります。そんな中、英国で話題になっているのが、通称「AIおばあちゃん」と呼ばれるユニークなAIの存在です。

一見すると微笑ましい名前ですが、実は詐欺対策という非常に実用的な目的で開発され、世界中から注目を集めています。

この記事では、「AIおばあちゃん」とは何なのか、なぜ話題になっているのか、そしてAI活用層にとってどんなヒントがあるのかを、丁寧に解説していきます。

英国の「AIおばあちゃん」の正体は“dAIsy(デイジー)”

英国で「AIおばあちゃん(AI granny)」と呼ばれた存在は、O2(Virgin Media O2)が発表した詐欺対策の会話AIボット「dAIsy」です。

dAIsyは、詐欺師からの電話に対して“高齢の女性らしい話し方”で応答し、雑談や脱線を交えながら会話を引き延ばすよう設計されています。

ここで重要なのは、dAIsyが「詐欺の被害を直接受けない盾」になりつつ、詐欺師のリソース(時間)を消耗させる点です。

単にブロックするのではなく、詐欺師が次のターゲットへ移るのを遅らせる“スキャムベイティング(scambaiting)の自動化”として紹介されています。

dAIsyはどうやって詐欺師と“自然に”会話しているの?

dAIsyの肝は「リアルタイムで会話が成立する」ことです。報道や紹介記事では、通話相手の音声を取り込み、テキスト化→返答生成→音声合成で返す流れをリアルタイムに行い、いかにも人間らしい受け答えを作っていると説明されています。

また、O2の説明では、dAIsyの連絡先(番号)をネット上に散りばめて詐欺電話を誘導し、得られたやり取りをまとめて注意喚起キャンペーンにつなげた、とされています。

つまりdAIsyは“ただのデモ”ではなく、詐欺の手口を可視化して啓発に使う設計でもあるのです。

なぜここまで話題に?注目ポイントは「詐欺師の時間」を奪う発想

dAIsyが注目された最大の理由は、詐欺師にとって最も貴重な資源である“時間”を奪うという設計です。
Guardianの報道でも、dAIsyがわざと話を脱線させたり、混乱した様子を見せたりして会話を長引かせる点が紹介されています。

O2によると、約1年間で1千人以上の詐欺師がデイジーと「長電話」をしており、最長で50分に及んだ通話もあったとのこと。

詐欺師はdAIsyとの会話に時間をとられることで、実際に人間をだます電話をかける時間が少なくなるのです。

さらにO2側は、詐欺対策としてスパム検知や詐欺メッセージ・詐欺電話のブロックなど複数の施策を進めている中で、dAIsyを“新しい啓発のフック”として位置づけています。

dAIsyは詐欺師をからかう娯楽ではなく、注意喚起(啓発)+被害抑止の文脈で作られた取り組みです。

今後「AIおばあちゃん」のような技術は広がる?

今後、このような対話型AIは、詐欺対策に限らずさまざまな分野で応用されていく可能性があります。例えば、カスタマーサポート、メンタルケア、教育分野など、「人と話すこと」そのものに価値がある領域です。

一方で、悪用のリスクや倫理的な議論も避けては通れません。誰が、どの目的でAIを使うのかという視点は、今後ますます重要になるでしょう。

「AIおばあちゃん」は、便利さだけでなく、AIと社会の関係性を考えるきっかけを与えてくれる存在とも言えそうです。

まとめ

英国で話題の「AIおばあちゃん」は、電話詐欺という深刻な社会問題に対し、AIを使ってユニークに立ち向かう取り組みです。完璧さよりも人間らしさを重視した設計や、目的に特化した使い方は、AI活用層にとって多くの学びがあります。

今後、AIがどのように社会と関わっていくのかを考える上でも、非常に示唆に富んだ事例と言えるでしょう。

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